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送り速度と切りくず変化の事例を紹介します。
送り速度が低すぎると切りくず処理性が低下することや
ドリルの直進性も低下し、加工精度も悪くなることがあります。
また、高すぎると切削温度の上昇や振動・欠け誘発の危険性も高まります。
加工材料の被削性、ドリルの品種、ドリルの剛性、加工深さ、
ステップサイクル、ドリル刃先へのクーラント供給、
縦型か横型か、ドリル回転かワーク回転か、
いろいろな要素が関係するために、最適な加工方法を一概に断定することは難しく、
ケースごとに最善な解決手段をみつけて、ひとつひとつ改善していくことになります。

問題解決の糸口を見つけるために、
問題点のイメージ化、推測の幅を広げる事例として参考ください。


使用ドリル:標準ストレートドリル 直径10mm
被削材:S50C 切削速度:15m/min (480min-1)
穴深さ:30mm 水溶性切削油剤

送り速度:
1.24mm/min (0.05mm/rev) 0.5% 直径比
2.48mm/min (0.1mm/rev) 1% 直径比
3.95mm/min (0.2mm/rev) 2% 直径比
4.143mm/min (0.3mm/rev) 3% 直径比
5.190mm/min (0.4mm/rev) 4% 直径比

1.送り速度 24mm/min (0.05mm/rev) 0.5% 直径比

螺旋状の長い切りくずと小さく粉砕された切りくずがみられる。
長いものは、ドリルに巻き付きやすく、連続穴加工ができなく、作業性が悪くなることがある。
一本、変色した長いものがある。
スムーズに吐き出されない切りくずによって、瞬間的に加工点へクーラントが充分に供給できなかった可能性がある。
粉砕された切りくずは、刃先振動(びびり)による可能性もあり、ドリルの振れ回りをチェックすることも必要。


左図のような形態は、ドリル溝中の切りくずが互いに絡みやすくなるために排出の障害になる可能性もあり、安定切削には細かなステップ送り(ドリルを口元まで戻してドリル溝から切りくずを完全に洗い流してやる)が必要。


2.送り速度 48mm/min (0.1mm/rev) 1% 直径比

粉砕されている切りくずは少なく、螺旋状切りくずの長さが短くなっているものの、切りくず形態が不揃いであり、排出性が安定的でないとみられる。
上図と同様な切りくずがみられる。安定切削には、ステップ送りが必要。


3.送り速度 95mm/min (0.2mm/rev) 2% 直径比

食い付き時、抜け際時に発生する長い切りくずはみられるものの、比較的長さが揃っていて安定している。
ただし、深い穴加工では、切りくず排出性がわるくなる可能性があるので注意が必要
浅い穴加工であれば問題ない。
今回の切削条件の範囲であれば、一番良好な条件である。


4.送り速度 143mm/min (0.3mm/rev) 3% 直径比

食い付き、抜け際以外は、ほぼ同等の切りくず形態。
良好な状態である。
一部に変色した切りくずがみられる。切削中のドリル刃先加工点の温度が高まっているものとみる。
使用したドリルがもっとショート溝長(ドリル剛性の高い)で、コーティング処理されているもので、クーラント供給が確実に行える浅い穴であれば良好。


青や茶色に変色した切りくず


5.送り速度 190mm/min (0.4mm/rev) 4% 直径比

長い切りくずがみられない。
送りが高いために切りくず厚さも相当に厚くなっている。
青く変色したものが多い。
切削温度が高まっているようだ。
耐熱性の高いドリルでなければ、急激な工具摩耗が進行する


参考までにハイスコーティングドリル AG-ESドリル の高能率加工時の切りくずを参考に紹介します。
| http://nachi-tool.jp/blog/index.php?e=125 |
| ドリル::その他 | 2011年06月27日 03:24 PM |